シューマンの指

シューマンの指 (100周年書き下ろし)

シューマンの指 (100周年書き下ろし)

装丁者 : 帆足英里子
上製 320ページ
カバー : タイトル シルバー箔押し加工

作者のシューマンや音楽への愛、溢れる一冊。
溢れすぎてついていけない面も多々あるものの、本文中の叙情的な表現でライナーノーツではない事を思い出す。音楽知識が無いとついていけない部分も多く、それを急いで補うわけにもいかないのでiTunes Storeで内田光子の全曲プレビューを繰り返し聞きながら読んだ。

音楽はもうすでにある。それは人間が演奏するしないに関係なくもうここにある。

作中、確かなものはこの一文であり、あとはミステリー(トリック)とシューマン愛で占めている。好き嫌いが分かれるかもしれない。


装丁は音楽(ピアノ)ミステリであることを、はっきりと主張している。白と黒(たっぷりノリノリのリッチブラック)は書店の平台でも目立つ。そして、血痕の赤。
この本は2011年2月に買ったのだけれど、書店員さんは血痕をデザインと思わなかったようで、顔をしかめて自分の指を見ておいででした。あ、それはデザインですよ、と言いつつ、店員なのに知らないものなのだなあと感心。初版は2010年7月でずっと平台に置いてあったし、本屋大賞ノミネート中なのにねえ。

本屋大賞といえば、ノミネートになった旨を告知する金色の帯がついたが、それでは装丁で一番重要な血痕が隠れてしまう。まあ、目を惹くし、血痕が気持ち悪くて買えない人には丁度良いかもしれないけれど、デザイナーは泣くぞ。少なくとも狭量なワタシは泣く。


追記
本文の白い紙は目が疲れる。と思ったら、ミルキィイソベさんもそう書いていた(illustration誌 2011 3)
きっと表紙の白にあわせての本文の色なのだろう。