身体のいいなり
- 作者: 内澤旬子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/12/17
- メディア: 単行本
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ブックデザイン:葛西恵
イラスト:内澤旬子
1,300円
上製 220ページ
カバー : ? マット系
帯 : ?
帯にあるように『新境地エッセイ』なのである。
乳癌の闘病について触れているものの、それらは軸の一つでしかなく、身体や環境の変化にふりまわされる、著者自身の内面について書かれている。
いや、一般的な闘病記に精神性が描かれていないという訳ではなく『意志を肥大化させてきた』からこそ、ふりまわされて一つの結論に達することが出来たということではないだろうか。
身体の物理的な影響を逃れることはできない。
(中略)
癌を通じて、私の意思は一度身体に降参し、身体のいいなりになるしかなかったのだ。
ふだん、闘病記とつく本は手にとらない。それは自分が臆病で怖いものを見たくない、ただそれだけなんだけれど、頻繁に足を運ぶ書店のちょっと変わった位置にこの本が置かれており、何度も(何日も)表紙と目が合ってしまったのだよ。
とても良いイラスト(著者本人によるもの)だとおもう。シンプルな造りのカバーも帯のコピーも、どれも良い。
読めば細かな点で同感し、息苦しくなり、感想が書き難くなってくる。
100パーセントの理解など有り得ないのだろうけれど、自分が持ち合わせた感想や行動に読めてしまい、強く頷いてしまう。
そういう本です。