雪の練習生

雪の練習生

雪の練習生

装幀 : 新潮社装幀室
上製 256ページ
カバー : マット(+マットニス たぶん)
表紙 : ファーストヴィンテージ
帯紙 : 方艶晒しクラフト? 「キャピタルラップ」か「純白ロール」か... ?


北極を知らないロシア、東ドイツ(統一前)、ドイツのホッキョクグマ三代の物語。
ホッキョクグマの視点から描かれており、彼らが感じる空気や匂いや夢をそれぞれの時代背景とともに読む事が出来るが、その中には強い皮肉が含まれている。王子さまと呼ばれて大人たちに利用されるクヌート(世界的アイドル熊の、あのこですよ)、サーカスで育ち育児放棄した母熊トスカ、会議に出ながら自伝を書き始めるトスカの母熊、三代の熊たちがいつも何かを感じ、考え、全身で宇宙に立ち向かう姿を描いた秀作。
孤独なクヌートに天使のように寄り添う『あの人』の存在が不思議と感じつつ、想像できてしまうのも、やっぱり不思議。


しっとりとしたマットな紙に、これ以上無いくらい黒い背景をしたホッキョクグマの写真を使用したカバー。白い動物なれど、つぶら黒い瞳ホモサピエンスはこの瞳にことのほか、弱い)と湿った黒い鼻を持つ彼らの物語であることを印象づける。
表紙は素朴な印象のファーストヴィンテージに、サーカスのテントのようなライトのような(呼称がわかりませんえん)クラシカルで時代を感じる模様。素敵です。